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蘭奢待ってどんな香り?

 


正倉院といえば、螺鈿紫檀五絃琵琶が思い浮かぶ。大昔の宝物が眠る倉庫だ。
「正倉院THE SHOW」では本物の琵琶ではなく、当時の技法を探求してつくられたレプリカを見ることができる。単なる模造とは言わず、「再現模造」というそうだ。

この展覧会の目玉は「蘭奢待(らんじゃたい)」の香りを体験できることだ。
歴史上の権力者たちの興味を引く香りは一体どんなものなのか。そして、東京展から販売される蘭奢待フレグランスカードをお土産に欲しい。

音声ガイドは無料。ナビゲーターは神谷浩史さん。ヘッドホンの貸出はないため、AirPodsを持参した。


どこから見ても美しい螺鈿箱


螺鈿箱の中は布張りされている


螺鈿紫檀五絃琵琶
自分が演奏している姿を妄想した。


琵琶の背側の模様
ため息が出るほど美しい

まずは「国家珍宝帳」が3面の壁に映された部屋。光明皇后が聖武天皇の遺品を献納した際の目録だ。どんなものが納められたのか一つ一つ読むことができた。全部漢字で書かれているので解説文と見比べつつ。矢や刀、書、楽器、鏡、愛用の肘置きと寝台など。

肘置きはレプリカが展示されていた。長めの枕くらいの大きさ。再現のために撮ったX線写真に、枕の中身の折りたたまれたムシロがはっきり写っていた。ただ綿を詰めるのではなく工夫を凝らした構造になっているんだなぁ。

壁一面の大きなスクリーンの部屋に琵琶と螺鈿箱、儀式用の定規が展示してあった。
解像度の高いデジタルデータ化された宝物の数々は映像の中で美しくキラキラしていた。
正倉院の正面から、カメラが上空へぐいーっと引いていって俯瞰視点になるところで、自分自身も飛んでるような感覚になりおもしろかった。


儀式用の定規「紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)」
象牙を染色するのは難しい技術らしい。


天平宝物筆
大仏の開眼儀式のときに使ったといわれるもの
筆につなげた長い紐を参列した人たちが握って、儀式に参加したそうな。

正倉院の扉の鍵「勅封(ちょくふう)」

正倉院の扉がどーんと建つ部屋には「開封の儀」の映像が流れていた。「開封の儀」ってここから来たのか。
扉の鍵は本物!(後日、公式Xで紹介されてて知った)
玄関ドアの上についているドアクローザー(ゆっくり閉まるようにするやつ)に形が似ている。

メインの蘭奢待体験コーナー。
中央に蘭奢待のレプリカ。周囲に香料サンプルが並ぶ。
本体から剥がれ落ちた数ミリの破片を分析し、特殊な原料によって再現されたもの。

蘭奢待(らんじゃたい)
「東」「大」「寺」の文字が入ってるんだって


香料サンプル
チャイティーのようなシナモンとスパイスがふわっと香る。
あくまでもふわっとした上品ないいにおい。

香りを記憶にとどめたくて、何度もサンプルを試した。
が、現在すでに記憶は薄れている。いいにおいだったことは覚えている。


ラピスラズリの飾りの付いた古代のベルト


ガラス製の魚形
ベルトに付けていたらしい


定規形もある
かわいい。

瑠璃坏(るりのつき)
ただの水を入れてもおいしく感じるとおもう。


小石丸という蚕の名前がかわいい。
その繭から作られた絹糸は細く、純白。


儀式用の刀


ガラスと水晶が散りばめられている


柄にサメの皮が使われている

銀薫爐(ぎんくんろ)
着物に香を焚きしめるための香炉
微細な模様に見入る。


宝物の文様をクローズアップしたトンネル


テクスチャ好きにはたまらない



陶芸作家さんの正倉院コラボ作品
めちゃくちゃ細かい模様


ネコかわいい


水差しモチーフの衣装
これもめちゃくちゃ手間がかかってる


服というかアート

大きなスクリーンで鮮やかな宝物たちを観た時、尊いと感じた。物に対して、または現代まで大切に守ってきた人たちの想いへの「てぇてぇ!」かもしれない。


展覧会グッズの木製ポストカード
模様が立体的になっていて綺麗。

蘭奢待フレグランスカードも手に入れることができた。
帰り道、空に広がるちぎれ雲が夕陽に縁取られて輝き、螺鈿細工のようだった。

なんつって。

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