屋久島編 1 -きっかけ

 きっかけ

 旅に出る理由は人それぞれ。まとまった休みがとれたからとか、 傷心をいやすためだとかほんの気まぐれでとか。 ネット上の屋久島の旅行記を読んでみると、仕事を辞めたのをきっかけにとか家族や親しい人が亡くなってと、ある種人生の転換の時に旅に出ることがあるみたいだ。

 私も父が亡くなって、同時に仕事も会社更正法とやらで失ってしまった。会社の方はそんなにショックじゃなかったけれど。納骨までの1ヶ月間はアパートを引き払ったり、名義変更など諸々の手続きで落ち着くことがなかった。その後、プー太郎の私には学生以来の「夏休み」が続いていた。 何だか旅にでも出なくては居たたまれない気持ちになっていた。 心配性の母も「どーせ、行くと決めたら行くんでしょ。」とあっさり承諾してくれた。

 屋久島に決めた理由は「海と山が両方楽しめる」「南の島」を条件に行き先を選んでいるうちに浮かんできた場所だったから。 さらに調べると、「縄文杉」という何千年も生きている巨大な樹のある島であるということ。 深く考えずに「縄文杉」に会いに行こうと思った。 長寿の樹にはそれなりの力が宿っているのではと私は思う。巨木信仰というものもあるし。その重ねた年月分の「何か」を感じることができたらいいなぁと思ったのだ。そして、その「何か」が自分を変えるようなものだったら、と期待もしていた。

 いくつかのエコツアーを主催する方の意見には「日帰り登山はかつての伐採跡をたどるもので見るべきものは無い」と否定的なものがある。また、「今は縄文杉の根元を踏み荒らされないよう遠くから眺めるだけ」とも。 私はそれでも「縄文杉」を見たいと思った。伐採跡でもかまわない。ヒトとは比較にならない年月を生きてきた樹を直接、自分の目で見て確かめたかった。ひとりよがりのなにものでもないが、屋久島のガイドブックを買い、登山用の装備をそろえて3泊4日の日程で出発した。


アクセス

◯往路 所要時間:約15時間

18:53 東京発 のぞみ27号
23:57 博多着
00:06 博多発 ドリームつばめ(グリーン席)
05:54 西鹿児島着

船=>
高速水中翼船 ジェットフォイル「トッピー」
08:00 鹿児島港発(指宿経由)
10:05 屋久島・宮之浦港着

◯復路 所要時間:約19時間

船=>
高速水中翼船 ジェットフォイル「トッピー」
14:35 屋久島・宮之浦港発(種子島経由)
17:10 鹿児島港着

18:54 西鹿児島発 なは(ソロ個室)
06:48 岡山着
07:05 岡山発 のぞみ4号
10:26 東京着

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