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屋久島編 23 海を眺めて暇つぶし 一湊灯台

 7月26日(土)

 屋久島の旅最終日。民宿あんぼうのおかみさんに、3日間お世話になりましたとお礼を言って出発した。とても居心地が良かったのでちょっとだけ寂しく思った。

 午前10時。船の出発する時間は午後2時過ぎ。まずは荷物を送ろうと宅配のお店へ向かう。宮之浦港へ着くと激しいスコールに見舞われた。それまでずっとお天気だったから、前が見えないほどフロントガラスを叩きつける激しい雨を体験してちょっとドキドキした。

港のそばのクロネコヤマトに荷物を預け外に出ると、島の北、一湊方面は晴れていそうだったので一湊海岸へ向かった。

 宮之浦港を離れてすぐ雨は小降りになり一湊(いっそう)に着いた時には昨日と変わらない青空が広がっていた。宮之浦とあまり離れていないにもかかわらずこんなに天気が違うなんておもしろい。

 一湊にも灯台がある。一湊海水浴場から道しるべ通りに小道に入り、一湊灯台を目指した。狭いスロープの先にはキャンプ場があった。端の方に車を止めて外に出ると同い年くらいの女の子たちがせっせとキャンプセットを片付けていた。どうやらここも通り雨にあったようで、突然の雨にびっくりしたらしい。

 灯台は坂の上にあった。しかし、管理棟は見えるが灯台へは林の奥に行かないと見ることはできない。舗装された小道が林の奥に延びているが、誰もここにこないのか、草が生い茂り落ち葉に埋もれたままだった。しかも、フナムシがたくさんいた。
雨が降ったから茂みから出てきたのだろう。歩くたびにカサカサ…カサカサ…と私を中心に放射線を描くように逃げていく。とても気持のよいものではなかった。
間違っても踏まないように下を見ながら歩いた。
ふと、物音がして周りを見るとヤクシカが数頭いることに気がついた。こちらをうかがうようにじっと見据えていた。
私はとにかくフナムシが嫌だったので急いで灯台を目指した。

 一湊灯台は屋久島灯台ほど大きくはなかったけれど、景色は格別だった。
西側が東シナ海、東側が太平洋である。でも海の上に境界線が見えるわけでもなく。水平線上には何もなく、ただ明るく輝く青色が広がっているだけだった。私は柵の上に立ってしばらくの間ぼーっと海を眺めていた。
左の方から来た船が右の島影の向こうに消えるまでずっと見ていた。
船から私は見えただろうか。灯台にじっと動かない変な人影が見えて気味悪く思ったりしただろうか。
波の音しか聞こえず、ずーっと眺めていても飽きなかった。何となくPSソフト「RIVEN(リヴン)」を思い出した。リヴンの世界はゲーンという男が創り出した箱庭のような島で、彼が創造しないかぎり水平線の向こうには何も存在しないのだ。私の目の前に広がる水平線のずっと向こうには九州があるが、もしかしたら水平線から先はスパッと落としたように何もなくて、ここは隔絶された世界なのかもと妄想したりした。

 次は、宮之浦港近くで暇をつぶすことにした。

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