屋久島編 19 島内一日散策 -(2)ハマユウの咲く浜 田代海岸

 午後1時40分。田代海岸にて。
何だか試練のように海岸へ抜ける道は狭かった。真っ昼間の海岸には人っ子ひとりいやしない。熱せられた砂に足がいちいち埋まって熱いのなんの。
 目の前には枕状溶岩と呼ばれるごつごつした岩がいっぱい広がっていた。足を冷やすために点々とある石をつたって波打ち際へ向かう。そして「フナムシ」を初めて見た。
動かなければ砂と混じってわからないのに、逃げるようにサカサカサカ…と遠ざかっていくのだ。好きにはなれない。

 遠浅で波は足元までくることはなく、きれいな透明の海水は…ぬるかった。しかし、底の小石が足裏のツボを刺激して気持ちよかった。海に背を向けてみると、ハマユウが群生して花を咲かせていた。白く細い花弁がカールして集まった形で、美しい植物だと思った。
枕状溶岩の敷き詰められた景色は普通の磯とは異なる雰囲気をかもしだしていた。なかには、亀の甲羅のようなゴツゴツ加減の岩があった。

 車に戻る前に、岩場に貯まった水で砂を洗い落とした。そこへちょうどワゴン車がやってきたので入れ違いに海岸をあとにした。