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屋久島編 14 縄文杉登山 -(9)レールの上の出会い色々

  トロッコ線路の上に、行きはなかった大きな重機が止まっていた。
線路をまわりこんで進むと、枕木の工事作業中のおじさん達がいた。登山道の整備はこのおじさんたちのおかげなんだ。軽く会釈しながら歩いていくと、
「1人で行ってきたのかい?」と訊かれた。「そうです。」と答えたら、
「エライ!」と何故かほめられた。ちょっと照れつつその場をあとにした。

こんな山奥で延々とのびる登山道を整備するおじさんたちのほうが「エライ!」と私は思う。
 後ろを振り向いたらいつのまにか1人のお兄さんに追いつかれてしまっていたので、さっきの一部始終を聞かれたと思ってちょっと恥ずかしくなった。そそくさとスピードをあげて先を急いだ。

 三代杉まで戻ってきた。
誰もいないので樹のそばに腰をおろして休憩した。あと1時間でスタート地点の荒川登山口に着くはずである。もう足は棒のように動かないほどクタクタだ。
もう遭難しちゃおうかな。でも、捜索費用は自己負担なんだよな…。
ぼーっとしていると、さっき追いつかれて急いで引き離したお兄さんがもうやってきた。
「こんにちは。」とあいさつを交わすと、その人も手近なところに座った。
「…」
2人とも終始無言である。何か会話すべきか悩んだけれど浮かばなかった。気まずいのでとっとと先へ行くことにした。
「お先に失礼します。」と小声で言ったが、お兄さんには聞こえなかったかもしれない。

 午後2時2分。5分もたたないうちに前方に2人の女性が立ち止まっているのが見えた。
「こんにちは。」と挨拶すると、1人が黙ったまま左を指差す。何?と思ってふりむくとまたしても2匹のヤクシカがいた。しかも至近距離だった。
「おぉ!」と思わず声をあげてしまって、すぐに口をつぐんだ。女性2人はケータイで写真をとっていた。

ヤクシカは草を食べていて、こちらを全然気にしていない。私もカメラを取り出してシャッターをきった。
私は満足したので先に行こうとしたら、足音がシカを刺激してしまったらしく移動してしまった。2人はまだ撮影中だったから、「すいませんっ」と小声で謝り、静かにその場を離れた。幸いシカはちょっと動いただけで居なくなったりはしなかった。
一方のお姉さんがいいアングルで撮れたみたいで「いい感じ♪」と喜んでいた。

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